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初産婦のMさん。

Mさんはからだのことに関心が強くて、普段の食事などにも気を遣っている方でした。

自分の好きなことに素直で勉強家、妊娠中からお腹の赤ちゃんにとっても声掛けをしているのが素敵だなと思いました。


Mさんのお産は陣痛から始まりました。

夜中から始まった陣痛はゆっくりゆっくり進んで、途中高位破水をしましたが、なかなか強い波には乗りませんでした。

12時間を超えてきたところで、赤ちゃんの位置がおかしい(回旋異常)と気づき、ドゥーラの貴代さんにオンラインでアドバイスをもらいながらご主人さんにケアをしてもらいました。


それでもなかなか状況は変わらないため、

病院への搬送の可能性があること、今すぐに病院に行くこともできるし、もう少し様子を見てタイムリミットまで頑張ることもできると、Mさんとご主人さんに伝えました。


Mさんはあきらめずに頑張りたいと仰って、その時の目には力がありました。


その後もゆっくりと進むお産。

タイムリミットも近づいてきます。


いよいよ病院かなと思い赤ちゃんの心音を聞くタイミングで、Mさんがトイレに行きました。

トイレで赤ちゃんの心音を聞くと通常とは違うリズム。。

慌ててお布団に戻り診察すると、子宮口は全開になっていました。


モニターをつけて赤ちゃんの状況を確認しながら、「生まれるよ~!」と声をかけました。

陣痛の波に合わせていきみ、赤ちゃんの頭が見えてくると

Mさんは赤ちゃんの頭に触れながらお産をしました。


待ちに待った赤ちゃんの元気な産声がお部屋に響きました。

お産は時間がかかることにも意味があります。

最後まで諦めずに頑張ったMさんはさすがだなと思いました。

妊娠中の在り方、助産師としてのメッセージの伝え方など、Mさんご家族に教えてもらうことの多いお産でした。

私にはもうじき20歳になる息子と、17歳になる娘がいます。

息子を授かった時の私は、助産師としてまだ卵にやっとなったかな、くらい未熟で

人としても未熟で、何もかもが全く分かっていませんでした。

息子が1歳になり仕事に復帰したものの

余裕なんて全くなくて

疲れ果てて

子どもとしっかり向き合うこともできませんでした。


"ママ〜"とニコニコしながらハグを求めてくる息子を受け止められず、あっち行って!と拒絶してしまったこともあります。


何もかもがうまくいかなくて、毎日が必死で、途方に暮れていました。


息子のことは可愛いし大好きだけど、気持ちを受け止められない、そんな自分を時々責めていました。


それから時が経ち、男の子って何て宇宙人なんだろう?と

男の子心が分からない10年くらいを過ごしました。


小学校中学年くらいまでは息子の良さがよく見えず

学校の先生からも「早生まれが通用するのは小学校低学年までですから。」とぴしゃりと言われ

うちの子は発達に問題があるのかしら??と不安にもなりました。


その時の夫の「大丈夫だよ〜、あれくらい普通だよ」の言葉に

信じたい気持ちと、でもちょっとグレーな子なのかもしれない。そうであってもそれはこの子の個性のひとつとして見るようにしようと自分に言い聞かせてもいました。


小学校高学年になると、息子を褒める先生に出会いました。

今までそんな風に褒められたことのない息子

先生子どもを間違ってませんか?って聞こうとしたくらいです。

でも先生はちゃんと息子のことを見てくれていて、そこが私の息子との関わり方の転機になりました。


息子は私と嫌な部分が似てるので、思春期の頃は時々衝突しました。

もうこれ以上は話してもムダだと思って切り上げようとすると「逃げんなよ」と言われます。

夜遅くまで解決しない平行線の話し合いを続けたことも何度かありました。


今年から息子は大学生になり、地方で一人暮らしをしています。

ちゃんと周りに気配りのできる男の子に成長しました。


育ってみないと分からないなぁと思います。

いま見えてる姿だけが全てじゃない、これからいろんな可能性を開いていく子ども達。

私は息子や娘といろんなことを一緒に経験して、人として親としての生き方を教えてもらいました。


多分授かる前よりは少し人間力がアップしたかなぁと思います。 

湘南つむぎ助産院として初めてのお産は、2024年の年始に突然決まりました。

その時妊婦さんは35週。

予定日まで1ヶ月と少し。

全く知らない方だったらお受けできなかったと思います。

以前から面識のある方だったこと

お世話になってる先輩助産師さんが背中を押してくださったこと

そしてご本人としっかり意思確認ができたからこそ飛び込めたお産でした。


そこからの準備は怒涛の毎日でした。

自宅出産をサポートするために足りない部分を補って

必要な物品を揃えて

嘱託医の先生に相談にも行きました。

道がスルスルと開けていき、きっとうまくいくと感じさせてもらえる準備期間でした。


予定日を超えてもまったく音沙汰のない赤ちゃん。

いつ生まれてくるかなとドキドキしながらの日々。


お世話になってる先輩助産師さんも茅ヶ崎に来てくれて良きタイミングのとき。


先輩助産師さんと一緒に健診に行くと、なんかお腹痛いかも…と。

でもまだ本格的ではないので一旦帰宅しました。


先輩とお昼ご飯を食べていると、陣痛が始まってきました〜!とご連絡が入りました。

急いで産婦さんのご自宅に戻ると、良い感じに陣痛がきていました。

ベッドに横になり、パパと先輩助産師さんと私と、みんなの手が産婦さんのからだに触れて穏やかな時間が過ぎていきました。


夜になり、ママのお腹が鳴りました。


ご飯食べようか、とリビングに降りて陣痛の合間にご飯を食べていると、破水しました。

そこからはあっという間にお産が進み、子ども達やおばあちゃんが見守る中、元気に赤ちゃんが生まれてきました。

すぐにママに抱っこしていただき、しばらく一緒に過ごしてもらいました。

無事に生まれてくれたことにみんながほっとして、安堵した優しい時間が流れました。

すべてを計らい絶妙で素晴らしいタイミングに生まれてきた赤ちゃん。

元気に生まれてきてくれてありがとう。

お産のサポートに入らせてくれてありがとう。

いのちが誕生する瞬間を手伝わせていただける喜びに、ただただ感謝です。


2024年1月からスタートした自宅出産のサポートは、私の予想をはるかに上回る7人の方がご出産されました。

お産をサポートする中で、いつか皆さんと一緒にランチ会をしたい、ママたち同士をお繋げしたいという気持ちが湧いていました。

11月のお産が落ち着いたころ、その夢が実現しました。


お産を終えた方はご自分のお産を振り返ったり、みんなのお産のエピソードを聞いて更にお産の余韻に浸れたらいいな、

これからお産をする方は先輩ママのお話からきっといろいろな気づきや勇気をもらうんだろうな、と思っていました。


笑いあり、涙ありのお話し会


いろんな人の話を聴きながら


自分にはまだ分からない、と言えるのもまた素敵だなと思いました。


自分の心の声を聴くこと

自分に優しくなったり素直になること

最初はできないし

なんでそれが大切かも分からないけど

お産に向けて整えていく過程で

みんな目に見えないものに対峙して

分からないなりに探して

自分を見つめること

それがすごくいいな、と思います。


今度は『お産を語ろう』イベントを開催します。

自宅出産だけじゃなく、病院出産や無痛分娩、帝王切開などいろんなお産を経験した女性たちのお産を話せる場を作りたいと思います。

みんなで大切にお産を語り合いたいですね。


お産の話、いろんな話、お喋りは止まらない♪

美味しいビーガンお弁当(産後2ヶ月のママが作ってくれました)

自宅出産の妊婦健診は20週以降はご自宅で行います。

病院での健診と同じで母子手帳に記載する一通りの内容をチェックしていきます。

ご家族も一緒に参加されることが多く、パパさんや上のお子さんにも赤ちゃんの心音を聴いてもらったり、胎位を確認してもらったりします。

その他に

一緒にストレッチヨガをしたり、お散歩したり、

出産までに知っておいてほしいことや準備してほしい内容をお伝えする保健指導というのも行います。

授乳のことや育児のこと、産後の生活の変化、家族のサポートや利用できるサービスなどをお伝えして、産後にスムーズに育児に入っていけるように環境を整えていきます。


妊娠週数が進むにつれて妊婦健診の機会が増えるので、お話しする中でお互いをどんどん知って理解が深まります。

お産に向けたからだと心の準備。

その過程はとても深いものがあります。

少しずつ本来の自分に還っていくような

内側からキラキラと生きるチカラが湧いてくるような

柔らかさと繊細さとがいろいろ出てきます。


『どんな風にお産したいだろうか』

と自分に問う時間

一緒に笑って、泣いて、時に号泣して。

私もとても深い時間を共にさせてもらっています。

なんて幸せな時間を過ごさせてもらっているのだろうと、この時間がとても大事です。

妊婦さんと海散歩

おっぱいを吸われることがどうしても痛いことがあります。
おっぱいの形にもよるし、乳頭や乳輪の柔らかさにもよります。

形的には絶対吸えるのに

痛くて吸わせられない…

毎回痛い思いをするから吸わせるのが怖い…

授乳が恐怖だと思います。

赤ちゃんの吸う力は結構力強いので、ママ達はびっくりしてしまいますが

丁寧にほぐして吸う練習を繰り返したら、少しずつおっぱいも鍛えられて痛みが取れてきます。

そこにいくまでにとても時間がかかるし、

中には哺乳瓶の飲み方に慣れてしまって

なかなかおっぱいを上手に飲めないこともあります。

ケースバイケースですが、哺乳瓶がなかったらうまくいきそうなのにな、と思うこともあり

便利グッズは増えているけど

それらがなかったら

やるしかない、と頑張れることもあるのかな、と

やや時代錯誤的に思うこともあります。

せっかく始まった赤ちゃんとの生活は

楽しいのが1番!

私もそう思います。

うまくいかないときは、どこが自分たちの生活に合っていないのか

一度見直してみても良いかもしれません。

育児書にもSNSにも答えはありません。

子育てが家庭ごとに異なるように

お子さんを見て向き合うしかない時があります。

私も何度うまくいかなくて

「私にはお母さんは向いてない。」

と思ったことか…

向き合っても答えが見つかるわけじゃなくて

ただただ悲しい時もあるんですけど

そうやってひとつずつ山を超えていきながら

子育ては進んでいくんだと思います。

お子さんが大人になった時にどうなっていたらいいなぁと

きっと胸に想っていることがあります。

それがあなたの子育て。

大事にしたいことを見失わないように 

お子さんのお顔を見てみてくださいね。

きっとお子さんが教えてくれます。
自宅出産のサポートを始めて妊婦さんの妊娠中の経過を見させていただく中で、あら?と思いがけない経過を辿ることがあります。

スムーズにいかない時は赤ちゃんからのメッセージで、 
ママとパパに気付いてほしいことや、準備してほしいことがあるようです。

ママとパパの間のコミュニケーションをもっととってね!だったり 

ママが無理しすぎてるよ!もっと自分と赤ちゃんに優しく過ごして!だったり

ボク(ワタシ)を見て!など

いろんなことを教えてくれます。

家族が増える時、一度今ある関係が解体されます。
そして基礎から作り直して新しい家族のカタチができます。

その新しい家族のカタチを作るための準備に、しっかりと赤ちゃんは関わろうとしてくれているんだな、と思います。

お腹の中から家族にメッセージを伝えてくれる赤ちゃん、本当に凄い存在です✨

バースドゥーラの貴代さんとは、1人目の自宅出産を終えた後に再会しました。

Kさんの自宅出産は、いろんな導きがあって、なるべくしてそうなった自宅出産だったのですが、そこに貴代さんも関わっていらっしゃいました。

長年サンディエゴでバースドゥーラとして活躍されている貴代さんは、人への信頼と愛がとても深い方です。

Kさんの悩みも不安もそれでいいと受け止め、何度となく心を開放してくれていました。


妊娠すると女性にはいろんな感情の波が押し寄せます。

どこで産むと決めても不安です。

その不安を理解して受け止め、サポートしてくれるバースドゥーラの存在はこれからますます必要とされると思います。

そして助産師とバースドゥーラが妊娠中から共に女性をサポートできたら、きっと素晴らしいお産になると思い、貴代さんとチームを組むことにしました。


これから出産をされる方(病院やクリニックで産む方も)や、バースドゥーラというお役目に興味がある方も、どなたでも貴代さんをご紹介します。

今はサンディエゴに住んでいらっしゃるので、しばらくオンラインでのサポートになりますが、秋ごろに日本に戻ってくるそうなので、私もお帰りを楽しみにしています😊



私が思い描くお産のサポートの様子を絵で表現してみました。


ピンク(茜色)は子宮を表しています。

子宮はママと赤ちゃんを柔らかく温かく包み込んでいます。

とても心地よくて安心できる場所。

陣痛が始まると、しなやかな弾力で赤ちゃんを外の世界に送り出します。


黄色はママと赤ちゃんを支えるサポーター。ご家族と私たち助産師です。

ママと赤ちゃんが安心してお産に臨めるように、優しくそばに寄り添います。


ゴールドのラインは感情のきらめきです。

嬉しいことも楽しいことも、時には辛い思い出がでてくることもあり、出ては消えてを繰り返しながら、そこにあります。


ブルーのラインは知性を表します。

優しく寄り添う中にも、専門職として状況を判断しながらママと赤ちゃんを守ります。


私だけではできない部分を、

一緒にサポートしてくれる助産師さんやバースドゥーラの貴代さんとチームを組んで、みんなで力を合わせて支えていきます。


皆さんはどんなバースプランを立てますか?

どんな環境でどんな風に産みたいか

そこに向けて自分を整えていくことや

病院でのお産であっても理想の環境に近づけるために自分でできる準備が見つかると

お産はもっと味わい深いものになりますね。


ひとりで準備するのが難しいときは、ぜひバースドゥーラと繋がってみてください~♪

貴代さんのお話は次のブログへ☆



2024年がスタートしてから、随分経ってしまいました。

実は今年から自宅出産のサポートを始めようと考えていました。
1月から告知を始めて、ゆっくりスタートできたらいいなと思っていたところ

突如2月予定日の妊婦さんの自宅出産をサポートすることになりました。

私にとっても驚きの展開で、足りないところを必死に準備しているうちに1月は過ぎていきました。

こんなに急に自宅出産のサポートに入るとは思っていなかったのですが、

いざお受けすると、あれよあれよと道が開けていきました。

とても不思議でしたが、きっとこれは受けるべきお産だったんだなと思います。

お産をお引き受けした女性は以前にもお会いしたことがある方で、知っている方でした。

彼女は4人目の出産だけど自宅出産ははじめて。
私も自宅出産のサポートはしたことがあるけど、湘南つむぎ助産院としてお引き受けするのははじめて。

はじめて同士

お互いに不安もありました。

私で大丈夫ですか?と聞くと

むしろ安藤さんの1人目になりたいです

と言ってくださり、凄い方だなと思いました。

彼女が私を選んでくれるなら、しっかりと腹を括ろうと覚悟を決めました。

そこから私たちの二人三脚の旅が始まりました。

心強い応援団も沢山いて、沢山のサポートをいただいての道のりでした。



今年の目標は『緩』

私自身も緩んで、整えて、ママたちのサポートに入りたいと思います。

母乳のメリットをご紹介するのは、調べていくうちにやっぱり母乳って凄いんだな✨と思ったからで、
決して母乳育児だけを推奨する目的ではありません。

ただ、助産師として大事なことはお伝えしつつ、皆さんが楽しく子育てできるように授乳のサポートを続けていきたいなと思います。

***
私たちヒトの母乳には『ミルクオリゴ糖』という栄養が含まれています。
★このミルクオリゴ糖は、脳を活性化する働きがあるので、学習能力や記憶力を高めてくれます。

★そして腸内の常在菌の増殖や安定に働きかけてくれています。

腸内の常在菌は私たちを病気から守ってくれたり、感染した時には素早く菌を退治して回復するように助けてくれますが、大体2歳までにある程度の種類に定まると言われています。

WHOは母乳を2歳まで飲ませることを推奨していますが、それには腸内細菌を増やして健康を維持するという理由もあるんでしょうね。

混合栄養でよいから、細く長く母乳も続けてもらえたらいいな、と思います😊

そして母乳には、「飲む」行為にもメリットがあります。

母乳を飲むために赤ちゃんたちは顎をしっかりと動かしています。

★この行為によって舌の位置が変わったり、骨格にも影響が出てきます。

赤ちゃんは狭い産道を通る時に頭の骨を被せてなるべく小さい頭で産道に侵入してきます。

そのため産後は少し頭に歪みのある子も、おっぱいを飲んで顎をしっかり動かすことで頭の形を元の位置に戻していくそうです。

頭の形に関してはその後の生育環境の影響もありますので、母乳で授乳したからまんまるの頭になる訳ではありませんが、

私たちのからだの神秘を知ると、無駄なことは何もないんだな、と改めてヒトのからだは面白い✨と思います。
小学生の頃、私はとにかく水の中にいるのが好きでした。
部活も水泳部で、部活のない日も友達とプールに遊びに行っては水の中にいるような子どもでした。

水の中は、静かに"しん"とした世界

その中にいると感じるのは自分だけで、それが心地良かったのかもしれません。

前世は絶対水中生物だと思っていました笑

そしてその"自分だけの世界に浸る"ことがしたくて十代の頃はよくノートに自分の気持ちとか湧き出てくるものを書いてました。

その時の名残りか、今でも時々沈みたくなる時があります。

自分と繋がって、自分に問う時間、答えを見つける時間

私にはそういう時間が必要です。

答えが見つかるまでは孤独でちょっと面倒くさい(労力と時間を要するので)から、沈むために覚悟がいるときもあります。

でも悪くない。

そういう時間も自分に必要。

いつも笑ってエネルギー全開なだけじゃない。

時に沈んで充電して、静かに過ごす。

いろんな自分がいる。

今は『沈』の時

そして一つひとつを「感じきりたい」と思っています。