温もりのあるお産
人の営みは本来とてもシンプルなものです。
いろんなことが簡単で便利な現代において、私たちは自分の都合のよいようにスケジュールを調整したりしますが、
お産を思い通りに操作することはなかなかできません。
赤ちゃんが生まれようとする時にお産は始まります。
お産が始まり、陣痛の強い波がやってくると自分の中のいろんな自分が出てきます。
強い自分もそうでない自分も、逃げたくなる自分もいます。
ネガティブな感情は悪者ではありません。
そういう感情が起こって当たり前なほど、陣痛は強いものです。
でも、頭で色々考えてしまうとお産はなかなか進みません。
面白い?ことに、からだにブレーキがかかったかのようにお産が停滞します。
ですからお産が始まったらもう波に乗るしかありません。
逆らわず、呼吸に集中してからだを緩めていく。。
お産の時の呼吸はからだの緊張をとるために行います。
意識が邪魔をしてくる時は呼吸だけに集中します。
腰をさすったり、汗を拭いたり、からだの緊張をほぐすようにサポートしながら、助産師は傍で産婦さんのからだの変化を見守ります。
ほぐれてきたところに赤ちゃんは出口に向かって進んできます。
狭いトンネルを少しずつ押し広げながら。
赤ちゃんにとっても長い道のりです。
部屋の空気が変わります。
ママと赤ちゃんとご家族が作り出す空間。
最後の一踏ん張りに向けた時間は部屋全体が一体感に包まれています。
そして赤ちゃんが生まれて元気に泣くと、ホッと安堵した空気に変わります。
赤ちゃんを抱くママのくしゃくしゃの笑顔。
オギャーオギャーと元気な声が部屋中に響きます。
助産師はまだ引き締めた緊張はそのままに
心の中は
無事に生まれた喜びと
ママと赤ちゃんの頑張りへの賞賛の気持ちと
このお産に立ち会えたことへの感謝の気持ちでいっぱいです。
部屋中に溢れる幸せな空気に自分自身が内側から満たされます。
温もりのあるお産。
温もりの中での子育て。
人の営みは温もりの中にあります。
コロナ禍で不便な今こそ、人との繋がりを大事にしたい、そう想います。
0コメント